抄録
2016年熊本地震はMJ 6.5, MJ 7.3という内陸地殻内地震としては比較的大きな規模をもって連続的に発生したことにより各種構造物に甚大な被害を与えた.本論文は同地震による各種構造物の被害に関する筆者らの最初の解析試行として自然斜面被害を対象に国土地理院のGEONETデータによる地震時地殻変動から得られる各種ひずみ量による解析結果を述べたものである.本論文では土木構造物,自然斜面を含む土構造物などの平面的な広がりを有する構造物の被害は変位の空間変動率である各種ひずみ量が強い影響を及ぼすとの観点に重点を置き,強震観測網データによる計測震度分布および地殻変動による各種ひずみ量分布などの諸量分布と自然斜面被害の分布との関係が考察される.