抄録
地震災害においては地殻変動が災害要因の1つとなる.被害予測のために地殻変動の物理シミュレーションが試みられており,有限要素法等を用いて詳細な地殻構造を考慮した地殻変動計算手法が求められている.また地震時の地殻変動では不確実性が多数存在しており,地殻変動計算では入力データに含まれる不確実性を定量的に評価するアプローチが有効である.本研究では多数回地殻変動計算によるモンテカルロシミュレーションのための,地殻変動の高速有限要素解析手法を開発した.詳細な有限要素解析に伴う莫大な計算負荷を克服するためにGPUを導入し,適したアルゴリズムの構築により地殻変動計算を高速化した.琵琶湖西岸断層帯を対象とした適用例では,モンテカルロ法により震源の不確実性を定量的に評価する地殻変動計算を現実的な時間内で行った.