抄録
東北地方太平洋沖地震や熊本地震での貯水槽の被害調査により,天井や上部の側板が破損した事例,中心より下側の側板や隅角部が破損した事例の二種類が顕著であった.前者はスロッシングによる液面揺動に起因し,後者はタンク構造体の振動が主体となるバルジングに起因すると考えられる.そこで本研究では,3m×3m×3mのFRP製パネル実機貯水槽を用い,バルジングについて検証を行った.その結果,壁面変位と動液圧の変化より発生する周波数がある幅で存在すること,さらに加振終了後は速やかに振動が収束することを確認した.また,バルジングが発生するとタンク下部に大きな負荷が掛かることから,バルジングがタンク下部付近の破損の要因の一つであることを確認した.