抄録
東日本大震災では,犠牲者の半数以上が自宅から避難しなかった可能性があり,避難開始の難しさが浮き彫りとなった.本研究では,復興支援調査アーカイブおよび著者らが開発してきた避難者発生シミュレーションを用いて,南三陸町志津川地区の避難開始の特徴を時空間的に分析した.その結果,(1) 地震発生時にいた場所の種類によって避難開始の傾向は大きく異なり,職場・店舗にいた住民の多くが家族らを気遣い自宅に戻った後,避難を開始していたこと,(2) 津波避難行動に加え,家族等を迎えに行く行動により,住民の多くが時間の経過とともに郊外へと移動していたこと,(3) その移動に伴う「逃げなければ」という雰囲気の伝播により,浸水予測エリア外においても避難を開始しやすい状況に推移した可能性があることがわかった.