抄録
2016年熊本地震の地震動の作用により,熊本城内では,石垣の崩壊や櫓の損壊などの甚大な被害が数多く発生した.本稿では,2016年熊本地震の前震時ならびに本震時に,熊本城内に作用した地震動を推定した結果について報告する.具体的には,まず,熊本城内および周辺の強震観測点において常時微動計測を実施し,得られた記録に基づいてサイト増幅特性を評価した.次に,熊本城周辺で観測された前震記録・本震記録をサイト増幅特性置換手法を用いて再現することで,地震動推定手法の適用性を確認した.最後に,適用性が確認された手法に基づいて,前震時および本震時における熊本城内での地震動を推定した.