2018 年 74 巻 1 号 p. 125-144
欧州の技術基準では,鉄道橋上のバラスト安定性確保を目的に床版加速度の上限値を設けているが,床版の部材振動性状はほとんど検討されてこなかった.本研究では床版部材振動を考慮した加速度評価を目的に,イタリア高速鉄道の合成箱桁橋を対象として最速374km/hでの走行試験,車両と構造物の相互作用解析を実施し,300km/h以上の高速域で床版部材モードの7次・8次共振により床版の最大加速度が桁の1.3倍に達することを明らかにした.また,数値解析による加速度評価に必要なモード次数の設定法を提案するとともに,各種パラメータ解析により,床版コンクリート剛性およびバラスト質量はその値が20%変化すると最大加速度が20%以上変動する主要な影響因子であることを明らかにした.