抄録
これまで筆者らは,500Hz以下の低周波渦電流により得られた検出電圧信号を用いた腐食を有する鋼部材のさび層と残存板厚を推定する腐食損傷状態分析手法を提案しているが,本研究ではさらなる精度向上と測定の簡易化を目指し,検出電圧とともに板厚情報を同時に取得可能であると考えられる位相特性を活用した腐食損傷分析手法の検討を行う.はじめに,数値シミュレーションにより損傷状態の違いを想定した低周波渦電流特性を明らかにし,その違いを捉えるために検出電圧と入力電流に対する検出電圧の位相差に着目した分析手法について検討した.そして,これらの検討結果に基づき,より高度な鋼部材の腐食損傷分析手法を構築し,実験によって提案手法の適用性について検討を行った.