抄録
近年,高力ボルト摩擦接合継手においてすべり後の支圧状態を考慮した終局限界状態に関する研究がなされている.著者らは高力ボルト摩擦接合継手の終局限界状態として,ボルト孔の変形量で規定した変形支圧限界状態を提案し,縁端距離とピッチがボルト孔の変形量と変形支圧限界応力の関係に及ぼす影響をこれまで明らかにしてきた.本研究では板幅・板厚・列数・軸力をパラメータとした1行3, 5列継手の引張試験を行い,母板の純断面降伏・縁端降伏およびボルトの降伏に着目して,これらの構造諸元がボルト孔の変形量と変形支圧限界応力の関係に及ぼす影響を検討した.その結果,ボルト孔の変形量が軸径の10%に到達した時の10%変形支圧限界応力が端抜け破断と純断面破断の耐力比の凹関数であり,耐力比が1.0程度で最大となることを示した.