2018 年 74 巻 2 号 p. 241-250
ゴム支承の損傷や劣化が数多く報告されるようになった.そこで筆者らは,非破壊検査の一つであるアコースティック・エミッション(AE)法を用いたゴム支承の損傷評価に関する実験的研究を行ってきた.しかし,ゴム内部を伝播する弾性波速度は遅く,検出された弾性波のAE法による検出精度について課題が残っていた.
そこで本研究では,天然ゴム内部に鋼棒を挿入し,鋼棒先端のみを加硫接着して引抜くことで発生する剥離音の検出精度の確認実験を行った.鋼棒先端からゴム表面までの距離を7パターン用意した.また,AEセンサは60kHzと150kHzに共振をもつ2タイプを用意した.発生した剥離音の位置を特定するために,3次元位置標定解析を行い剥離箇所の同定精度について確認した.その結果,ゴム内部の剥離箇所を高い精度で同定できることを示した.