2018 年 74 巻 4 号 p. I_1023-I_1034
本研究では,地震動要素としてのパルス波がもたらす作用に注目した強震動特性の評価法を提案した.まず,加速度波形をゼロ・クロス点で局所的パルスに要素分解し,パルス波の集合で構成される三角パルス波形を定義して,パルスの振幅・周期・時系列特性を評価する手法を提案した.次いで,パルス波の振幅,作用方向,タイミングに着目し,エネルギー入力率を用いて時間-周波数解析を行う方法を提案した.加速度パルスと構造物の速度応答のそれぞれの振幅・符号の複合的作用が構造物応答を支配することを明らかにした.構造物応答の増幅・減衰過程へのパルスの寄与や,衝撃的作用もしくは共振現象との関連性などの考察に有効と考えられる.4つの内陸地殻内地震における5観測記録を用いた評価例を示した.