2018 年 74 巻 4 号 p. I_490-I_496
1995年に発生した兵庫県南部地震で,多くの橋梁が損傷・倒壊するなど甚大な被害を受けた.損傷を受けた橋脚の大規模な耐震補強として採用実績が多い耐震補強工法が,鋼板巻立て工法である.しかし,補強後に経年劣化や地震動などの影響により鋼板とコンクリートの間で剥離が生じた場合,その内部状態を外観から把握することは困難であるのが現状である.そこで本研究では,コンクリート部材を鋼板巻立て工法で補強して,衝撃弾性波法を用いて鋼板とコンクリートの間の剥離箇所の評価の可能性について検証した.その結果,各計測点での最大振幅値に違いが見られた.完全に接着補強した供試体では最大振幅値が0.3V以下に対して,剥離を模擬した供試体では0.5~0.6Vであった.このことから,両者の検出波形の相違を確認できた.