土木学会論文集A1(構造・地震工学)
Online ISSN : 2185-4653
ISSN-L : 2185-4653
地震工学論文集第37巻(論文)
2016年熊本地震による被災宅地の被害分析
橋本 隆雄松下 一樹
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2018 年 74 巻 4 号 p. I_522-I_533

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抄録
 2016年熊本地震では,震度7が2回,震度6弱以上が7回発生し,熊本市,益城町,西原村,南阿蘇村等の宅地擁壁の被害が広範囲に数多く発生した.そこで,延べ2,870人被災宅地危険度判定士が熊本県内の被災した12の市町村において43日間で20,022件の判定を行った.本論文では,各市町村の宅地被害状況について被害項目ごとに分析し,既往地震と2016年熊本地震の比較を行った.その結果,熊本地震による宅地擁壁の被害は,空石積擁壁が29%(約1/3)を占め,傾斜・倒壊及び崩壊の被害が非常に多くなっている.宅地地盤の被害は陥没17%,沈下24%,段差15%が非常に大きく,のり面・自然斜面の被害は滑落・崩壊87%が非常に大きく,既往地震と比較すると被害割合・量ともに非常に大きいことが明らかとなった.
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© 2018 公益社団法人 土木学会
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