抄録
地震災害による避難者の予測は,地震防災対策を策定するうえで重要課題である.本研究ではその基礎的検討として,2016年熊本地震で被災した5市町村(益城町・西原村・南阿蘇村・御船町・熊本市)における避難者の発生とその解消過程について,家屋被害,停電・断水,余震,仮設住宅の整備等に関する状況とあわせて時系列的整理を行った.建物の全半壊人口,停電・断水人口に加えて,社会的回復力を表すレジリエンス関数を導入して,避難者数の推移を記述するモデルを構築した(モデル 1).また避難者数のピーク後の解消過程に関するモデルを検討し,短・中・長期に対応した混合数3の混合指数分布でモデル化した(モデル 2).モデル係数の比較により,避難者数の推移の特徴を明らかにした.