2019 年 75 巻 1 号 p. 26-45
熊本地震でロッキング橋脚の倒壊により跨道橋が落橋したことから,既設ロッキング橋脚の自立化の方針が打ち出された.しかし,ロッキング橋脚の自立化で橋脚には水平方向の剛性が付与されるので,橋脚基礎には地震慣性力による水平力や曲げモーメントが新たに作用するようになる.その結果,このような地震作用が考慮されていない元の橋脚の基礎には何らかの耐震補強を施す必要性が高まる.しかし,基礎の耐震補強は容易でないので,できる限り大規模補強を回避することが望ましい.ここでは,自立化したロッキング橋脚の柱基部の浮き上がりを許容するとともに柱基部に軸降伏型ダンパーを付加して橋脚に免震機能を持たせることで,基礎に作用する地震力を緩和し,大規模補強を回避する方策を検討する.