日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネ胚乳において低分子量GTPase Rab5aはグルテリンの輸送に関与する
*福田 真子佐藤 美緒川越 靖Okita Thomas W小川 雅広佐藤 光熊丸 敏博
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p. 0404

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抄録
低分子量GTPase Rab5aは小胞輸送を制御する因子の1つである。イネRab5aの構造遺伝子変異、glup4突然変異は胚乳においてグルテリン前駆体を多量に蓄積する。しかし、グルテリン前駆体の細胞内輸送におけるRab5aの機能については不明な点が多い。そこでRab5aに関する3系統の同座変異体の組織学的解析を行った。蛍光顕微鏡解析の結果、野生型では直径3~4μmのプロテインボディー(PB)が観察されたが、全てのglup4系統において小型化したPBとグルテリン前駆体を集積していると考えられる構造体が観察された。この結果は、Rab5a遺伝子の変異によって同構造体が形成されることを示している。同構造体は小胞体の性質を有することが示唆されており、グルテリン前駆体は小胞体内に集積していると予測される。共焦点レーザー顕微鏡を用いglup4変異体を解析した結果、構造体内にグルテリン前駆体と細胞壁の構成成分であるβ-グルカンが存在していた。β-グルカンはゴルジ体で合成されることから、ゴルジ体からのβ-グルカンの輸送が滞っている可能性がある。従って、同構造体は小胞体の性質と共にゴルジ体の性質を有することを示唆している。以上のことから、イネRab5aは胚乳細胞における小胞体、ゴルジ体等のエンドメンブレンシステムの形成に重要な作用を有し、グルテリン前駆体の輸送に関与していると考えられる。
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© 2008 日本植物生理学会
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