2019 年 75 巻 2 号 p. 161-174
荷重非伝達型十字すみ肉溶接継手の疲労破壊起点は溶接止端となるのが通常であるが,溶接止端に超音波衝撃処理(UIT)を施すと,止端の疲労強度が大幅に改善され,溶接ルート部が破壊起点になることがある.しかし,ルート破壊する場合の疲労き裂発生・進展性状や疲労寿命は十分に明らかとはされていない.ここでは,UITを施した荷重非伝達型十字すみ肉溶接継手の疲労試験を行い,ルート破壊する場合のき裂の発生・進展性状を示した.また,溶接部がルート破壊する場合の疲労強度評価に対する有効切欠き応力概念の適用性について,疲労き裂の開閉口挙動を考慮して検討した結果を示した.