2019 年 75 巻 2 号 p. 95-110
地震直後における橋梁の機能維持が課題となっている.落橋を免れても損傷が甚大で交通機能を維持できなければ,被災地への救援物資輸送といった利用ができない.筆者らは,既設橋梁の橋軸直角方向を対象として,支承部に“ダイス・ロッド式摩擦ダンパー”を設置することで,レベル1地震動に対して橋としての健全性を損なうことなく,レベル2地震動に対する耐震性の向上を図る耐震補強工法を提案している.本論文では,橋梁用に開発したダイス・ロッド式摩擦ダンパーに対して実施した静的および動的載荷実験について述べる.載荷実験の結果,最大速度 100cm/sec を超える正弦波・地震応答波載荷時においても摩擦ダンパーが概ね剛塑性型の履歴形状を有する等の性能を発揮することが確認された.