2019 年 75 巻 3 号 p. 293-304
本論文では,FRP材料・部材における物性値の評価方法を提示することを目的として,引抜成形法およびハンドレイアップ成形法によって製作されたガラス強化繊維ポリマー(GFRP)部材の引張特性について統計的な評価を試みた.まず,溝形断面を有するGFRP部材の各部位からクーポン試験片を採取して,引張試験により,断面内における積層要素の材料物性値を評価した.また,試験結果に基づきモンテカルロシミュレーションを実施し,部位ごとの材料物性値のばらつきが溝形断面を有する部材の引張性能にどの程度の影響を与えるのかを検証した.その結果,試験結果と比較して,溝形部材の強度は低く評価されるが,弾性係数は同程度であることを示した.