2019 年 75 巻 4 号 p. I_199-I_206
2016年熊本地震では熊本城の石垣や櫓は崩落を含む損傷を受け,熊本市は地震に対する補強も考慮しているが,対策工を適用した場合の耐震補強効果を示す根拠が不足している.補強効果を定量的に示す方法として DEM(個別要素法)を用いることが多いが,石垣や櫓のように3次元効果を考慮する必要がある構造物に対して対策工を適用した場合の3次元解析は行われていない.
本研究では3次元DEM解析ソフトYADEを用いて,地震動の3次元シミュレーション解析プログラムを構築し,組石構造に対する有効性を検討した.解析の妥当性を示すために積み木を用いた振動実験を実施し,数値シミュレーションと実験結果との比較をした.その解析の結果,模型振動実験を精度よく再現し,プログラムの妥当性の検証ができた.