2019 年 75 巻 5 号 p. II_36-II_43
FRPの有限要素法解析では異方性材料を用いた弾性解析を実施することが一般的であるが,接合部などの耐荷力を精度よく評価するために,損傷を考慮した損傷進展解析の開発が近年進められている.損傷進展解析モデルの中には損傷開始後の応力-ひずみ関係の定義に限界エネルギー解放率を用いる場合がある.本研究では,GFRPの繊維方向の引張と圧縮の限界エネルギー解放率を求めるため,CT試験とCC試験を実施した.限界エネルギー解放率の導出で必要となる試験中のき裂長さと圧縮損傷長さの同定には画像相関法を用いた.その結果,画像相関法によりき裂の進展が同定できること,引張の限界エネルギー解放率は既往の研究で得られた値と同程度であること,引張の限界エネルギー解放率が圧縮の限界エネルギー解放率を上回ることを明らかにした.