2019 年 75 巻 5 号 p. II_6-II_18
CFRP板を用いた鋼桁端の断面欠損部の接着補修において,不陸修正を兼ねた,低弾性で粘度が高い接着剤を適用する場合,接着剤の厚さと内部の空隙による接着不良が課題となる.本研究では,接着不良のモデル化と接着接合部の荷重伝達の特性を,ばね要素を用いて解析的に検討するとともに,そのモデル化を適用して,接着剤の厚さと接着不良が断面欠損した鋼桁端部の性能回復に及ぼす影響を把握することを目的とした.さらに,接着不良の有無をパラメータとした載荷実験を行い,その妥当性を検証した.検討の結果,接着剤の厚さと接着不良が桁端柱部材の圧縮耐力の回復に及ぼす影響は比較的小さく,接着施工の管理水準内であれば,それらの影響はほとんどないことが確かめられた.