2020 年 76 巻 1 号 p. 29-40
鋼橋の溶接継手における疲労寿命の向上を目的に,高周波誘導加熱装置を用いた局所加熱による溶接残留応力の低減方法について一連の実験および解析的検討を実施した.すみ肉まわし溶接部を囲むように110mm×40mmの高周波誘導加熱装置を設置し,350℃まで加熱することで,340MPa程度の引張残留応力を30MPa以下まで低減する方法を提案した.また,局所加熱実験を熱弾塑性解析によりシミュレーションし,残留応力低減のメカニズムを明らかにした.4点曲げ疲労実験を実施し,作用応力範囲が 70~100MPaの条件では加熱なしの継手に比べ局所加熱した継手の疲労寿命が2~5倍になることを明らかにした.