2020 年 76 巻 2 号 p. 229-238
筆者らは,非破壊試験法のアコースティック・エミッション(AE)法を利用したゴム支承の損傷評価に関する研究を進めてきた.さらに,ゴム内部を伝搬する弾性波の検出精度に関して,ゴム単体の確認実験を実施し,ゴム内部に鋼棒を挿入し先端のみを加硫接着して引抜くことで生じる剥離音の検出精度についてまとめた.本稿では,ゴム支承の構成に近づけるために,ゴム内部に挿入した鋼棒の上・下・上下それぞれに鋼板を配置した.鋼棒の剥離音によってゴム内部を伝播する弾性波の検出精度に鋼板が与える影響について実験した.解析では,3次元位置標定解析を行い,剥離箇所と位置標定箇所の相違を分析した.その結果,鋼板が配置された場合でもAE現象を検出することができた.また,位置標定精度が低くなったが,損傷の影響を検出できることが分かった.