抄録
生態系勘定や面源負荷対策において,窒素除去サービスは重要な意義を持つが,日本全国の多様な生態系を対象に,同一の手法を用いて物量と経済価値の双方でこれを評価した研究は国内では見られない.本稿では,Integrated Valuation of Environmental Services and Tradeoffs (InVEST)に降雨からの窒素沈着や窒素除去限界などの要素を加味したモデルを用いて,2009年における日本全国の窒素除去サービスを評価した.その結果,窒素除去サービス量は約24万6,859 t,その経済価値は約2,737億円と推定されるとともに,同一の土地利用でも地理的要因により経済価値は異なることが示された.また,1991年を対象とした分析と比較したところ,現在の生態系サービスの劣化が懸念される結果が示された.