2020 年 76 巻 4 号 p. I_363-I_376
メナーゼヒンジでは,交差鉄筋とヒンジ部コンクリートの付着により,ヒンジ部に縦方向のひび割れが発生することが知られている.しかし,現在我が国で採用されているメナーゼヒンジの多くは,従来のメナーゼヒンジと比較して幅の広いヒンジ部コンクリートを有しており,従来のメナーゼヒンジとヒンジ部の力学性状が異なる可能性がある.そこで本研究では,先行研究での実験結果を参考に,ヒンジ部コンクリート幅の広いメナーゼヒンジにおける縦方向のひび割れの発生メカニズムを検討した.そしてその結果を踏まえ,拡張有限要素法(X-FEM)を用いたひび割れ進展解析を実施した.その結果,曲げが作用するヒンジ部コンクリート幅の広いメナーゼヒンジでは,ヒンジ部コンクリートへの軸圧縮力の増大により縦方向のひび割れが発生している可能性を示した.