2020 年 76 巻 4 号 p. I_461-I_471
橋長 160m の 2 径間連続鋼斜張橋である桑鶴大橋は,2016(平成28)年4月の熊本地震によって,死荷重が作用する状況において上向きの反力が生じている支承の破壊に伴い桁端部が浮き上がり,桁全体が曲線外側へ移動するとともに,斜ケーブルのよれ,主塔の傾きが発生する等,過去に事例の少ない特殊な損傷が発生した.本稿では,本橋の構造特性と被災後の損傷状態を踏まえ,同様な損傷が生じにくくなるようにするための復旧対策を述べるとともに,その信頼性を高めるためのモニタリングの活用方法を示した.
また,復旧後の段階で地震の影響等を受けた際に橋の状態変化の有無を容易に把握できるようにしておく観点から,復旧完成系におけるケーブル部材や橋全体の固有振動数を計測し,そのデータをリファレンスの値として活用する方法を提案した.