2020 年 76 巻 4 号 p. I_486-I_494
日本の高速道路では,地震発生時に発生した地震の規模により通行規制及び点検が行われている.さらにレベル2地震動を含む大規模地震が発生した場合には,24時間以内に緊急車両が通行可能となるような目標を設定している.しかし橋梁が受ける損傷の程度は地震動の特性によって大きく異なるため,緊急点検を効率的に行うことが困難である.2016年に発生した熊本地震を受けて,2017年に道路橋示方書1)が活断層を考慮するように改定され,今後は,従来の耐震設計で考慮されてきた地震動に加えて,断層変位を考慮して橋梁の耐震性を検討する必要がある.本研究では,断層帯近傍の橋梁に対して,桁端の接触を考慮して地表地震断層が生じた場合の橋梁の応答に関する検討を行うことで,断層変位が橋梁の応答特性に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.