2020 年 76 巻 4 号 p. I_552-I_558
通信を支える地下管路では地震被害が一部発生しケーブルを傷つける可能性があるため,対策のための被害予測が重要となる.中でも旧仕様の鋼管,ビニル管において比較的被害が発生しやすいが,それぞれ被害の特徴が異なると考えられる.本稿では被害傾向を過去の地震から統計的に分析し,それぞれ様々な指標での傾向を把握した.結果として鋼管と硬質塩化ビニル管の被害率を比較すると地震動,亘長,地盤それぞれの指標において傾向に差があった.また,熊本地震を事例として被害箇所の特徴を確認すると,液状化や断層が見られた箇所では両管路ともに被害が発生していた.また鋼管のみに被害が集中している箇所においては管軸方向のひずみが,ビニル管のみに被害がある箇所では管軸直角方向の変状が確認され,統計的な傾向に反しない事例が確認された.