土木学会論文集A1(構造・地震工学)
Online ISSN : 2185-4653
ISSN-L : 2185-4653
地震工学論文集第39巻(論文)
矢板式係船岸改良設計の地震応答解析における既設構造物モデル化手法の影響評価
堤 杏紗小濱 英司
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 76 巻 4 号 p. I_559-I_570

詳細
抄録

 本研究では,既存の控え矢板式係船岸の前面に新設矢板を打設する改良設計の地震応答解析において,既存構造物の考慮の有無や考慮方法の違いによる解析結果への影響について検討を行った.実務で多く採用されている新設構造物のみをモデル化したケースでは変形量が大きくなり安全側の結果が得られたが,矢板に生じる曲げモーメントは小さくなった.既設構造物を含めてモデル化したケースでは既設及び新設構造の施工過程を詳細に考慮すると岸壁天端変位が抑えられ,簡略化した場合は新設構造物のみをモデル化したケースと結果が類似した.このことから,矢板式係船岸を新たな矢板式構造で改良する場合において,既設構造物を含めてモデル化する場合,詳細な施工過程を考慮しなければ既設構造の影響を見込むことができないことが明らかとなった.

著者関連情報
© 2020 公益社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top