2020 年 76 巻 4 号 p. I_96-I_105
盛土構造物の耐震設計では,せん断破壊による円弧すべりのみを考慮しているものが多いが,実際には開口クラックが生じるものも多く観察されており,引張破壊も考慮した盛土構造物の耐震設計をする必要がある.本研究では,せん断破壊と引張破壊の双方を考慮した数値解析手法を用いて,液状化地盤上の盛土を対象に動的解析を行った.異なる盛土高さ及び入力周波数を設定し,引張クラックが盛土天端及び法面から発生進展するパターンと盛土底部から発生進展するパターンの2パターンについて考察した.モデルの固有周波数と入力周波数の関係によって,盛土内部に生じる動的な変位が引張クラックを生じさせる場合と,液状化地盤の側方流動に付随して生じる変位が引張クラックを生じさせる場合の,2種類のメカニズムが存在する可能性が示唆された.