2020 年 76 巻 5 号 p. II_95-II_104
本研究では,鋼構造物の補修補強用に開発した山形断面を有するハイブリッドFRP引抜成形材について,鋼材との接合部に使用するせん断力を受ける支圧ボルト接合部の耐力評価を接合部供試体の引張実験により行った.ボルト列数,ボルトの種類,せん断面数,ボルトの軸力の有無,座金の種類をパラメータとして,それらが接合部耐力に与える影響について実験的に明らかにした.ボルト軸力の導入により,ボルト孔付近の面外変形が抑制され,接合部耐力がボルト軸力なしに比べて2倍程度に増加することを確認した.また,1面せん断と2面せん断の比較では,1面せん断の接合部耐力が2面せん断より最大17%低くなった.最後に,支圧接合用高力ボルトと摩擦接合用高力ボルトの比較では,接合部耐力に明確な差は確認できなかった.