2021 年 77 巻 4 号 p. I_373-I_383
地震発生後に鉄道橋梁・高架橋の被害発生確率を即時的に評価することで,地震後の鉄道の運行再開判断に資する情報を提供する手法を構築した.具体的には,過去に提案されている土木構造物の地震被害推定ノモグラムを拡張することで,各構造物の被害発生確率等を即時推定可能な手法を提案した.提案手法では,地震動の卓越周期と構造物の固有周期の比率を指標とすることで,地震動と構造物の共振・非共振といった現象を反映した応答予測を実現しており,従来の単一指標に基づく構造物被害予測よりも信頼性が高い.さらに,各構造物の降伏震度,変形性能の違いを陽な形で考慮することが可能であるため,建設年代の違いや耐震補強の効果を運行再開判定に直接関連付けることもできる.