2021 年 77 巻 4 号 p. I_384-I_393
我が国では,豪雨や地震による斜面災害が多く発生しているが,斜面災害は周辺家屋等への直接被害だけでなく,インフラの断絶,孤立地域の出現といった二次災害の誘因となっている.本研究では,平成16年新潟県中越地震,平成19年新潟県中越沖地震で被災した新潟県を対象として,県管理の斜面カルテに加え,地震動強度指標データ,降水量,地質図,土壌図,植生図等の空間情報データの収集を行い,地質学,統計学の両観点から斜面崩壊の特徴を掴んだ.複数の説明変数の共分散構造分析から得られた潜在変数を用い,斜面崩壊の観測値に対して説明力の高いロジスティックモデルを作成した.得られたモデルを他地震に適用し,より汎用的なモデルの構築には,利用する変数や適用可能なハザードの大きさ等の条件を考慮する必要があることを明らかにした.