2021 年 77 巻 4 号 p. I_414-I_423
橋梁の免震化において積層ゴム支承が一般的に用いられているが,近年発生した東北地方太平洋沖地震および熊本地震において積層ゴム支承に損傷が生じており,積層ゴム支承以外の免震支承の開発は重要である.球面すべり支承は振り子の原理を用いた免震支承で,我が国では建築分野での採用実績はあるが,橋梁分野では採用されていない.本研究では球面すべり支承の橋梁への適用を目的として,球面すべり支承で支持された橋梁模型桁に対して振動台実験を行った.特に,上部構造の応答およびその応答が下部構造に及ぼす影響に着目し,球面すべり支承で支持された橋梁の地震時挙動を調べた.その結果,支承の設置状況によっては,スライダーの摺動に伴って生じる上部構造からのP-δ効果が原因で,下部構造に付加的な曲げモーメントが作用することが確認された.