2021 年 77 巻 4 号 p. I_519-I_532
2016年熊本地震では熊本城の石垣や櫓は崩落を含む甚大な損傷を受けた.熊本市は地震に対する補強も考慮しているが,対策工を適用した場合の耐震補強効果を示す根拠が不足している.補強効果を定量的に示す方法としてDEMを用いる事例はあるが,石垣や櫓のように3次元効果を考慮すべき構造物に対して対策工を適用した場合の3次元解析はほとんど行われていないのが現状である.本研究では3次元DEM解析ソフトYADEを用いて,石垣構造物に対する解析の妥当性を検討した.まず,解析対象として傾斜実験・振動実験・安息角試験を実施した.次に各実験に対して多面体モデルと球形要素の集合体であるクランプモデルによる数値シミュレーションを行い,実験結果との比較を行った.結果,多面体モデルとクランプモデルとも各実験を整合する解析結果が得られた.