2021 年 77 巻 4 号 p. I_503-I_518
鉄筋コンクリート柱構造の曲げ変形挙動は,軸方向鉄筋のフーチングからの伸び出しに大きく支配される.本研究では鉄筋コンクリート柱模型を用いた正負交番載荷実験を行い,軸方向鉄筋のひずみ履歴,柱の変形および各部の損傷を詳細に分析するとともに,非線形有限要素解析に基づく構造解析により実験結果の再現を試みた.実験では,両側の軸方向鉄筋の荷重~ひずみ履歴に顕著な差異がみられた.また,ポストピークでは軸方向鉄筋のはらみだしに伴い水平耐力の低下現象が確認された.非線形有限要素解析では,軸方向鉄筋の付着すべり特性を適切にモデル化することで,実験で得られた荷重変位関係や載荷時の水平荷重~ひずみ履歴の傾向を概ね捉えた.本論文では,軸方向鉄筋の付着すべり特性がRC柱構造の曲げ変形挙動に及ぼす影響について報告する.