2022 年 78 巻 1 号 p. 61-77
2011年東北地方太平洋沖地震の津波や2016年熊本地震の活断層の被害を受け,設計を超える作用に対して想定しておくことの重要性が高まっている.想定を超える状態に対しては,影響を低減する観点や機能回復のための復旧性に配慮した減災の観点を取り入れることが重要である.橋脚が倒壊すると復旧に膨大な時間を要することから,支承を適切なタイミングで破壊させ,下部構造を確実に守ることが望ましい.そこで本稿では,鋼製橋脚に損傷制御部材を設置する方法を考案し,1/8縮小模型供試体を用いた実験により,その実効性を検証した.鋼管の局部座屈,内部充填コンクリートのひび割れ,アンカー部と制御部材の接触現象等に対して,設計に適用しやすいFEモデルを考案し,実橋を模した時刻歴応答解析を行うことで,超過作用に対する損傷シナリオを示した.