2022 年 78 巻 2 号 p. 213-230
鋼構造物の塗替え塗装後に,鋼素地に残留した塩類を含む腐食生成物が原因となり,塗膜下腐食が早期に発生する事例が多数報告されている.この腐食生成物を効果的に除去する方法の1つとして,高出力連続波レーザーが考えられる.しかし,このレーザーで素地調整した鋼材の表面特性に関する基礎研究は行われていない.本研究では高出力連続波レーザーで処理した鋼材の表面特性に関する基礎的検討を行うことを目的とした.そのために,レーザー照射した鋼材と照射後にブラスト処理した鋼材を対象として,鋼素地の粗さ測定,金属組織分析,XRD分析,電気化学測定および防食皮膜の付着試験を行った.これらの結果から,表面性状,酸化皮膜の成分構成,溶融部と熱影響部の深さ,酸化皮膜の残留性状と防食特性,および塗膜と溶射皮膜の付着特性を明らかにした.