2022 年 78 巻 2 号 p. 231-242
高力ボルト摩擦接合において近年,ボルト軸力の低下等の変動が指摘され問題となっている.本研究では高力ボルト残存軸力を非破壊で簡便に評価すべく,渦電流計測に基づく残存軸力評価手法について実験と数値シミュレーションとの両面から検討した.渦電流計測では鋼部材の透磁率と応力の関係を用いて応力状態変化を取得可能であることから,ボルト頭部の応力状態に着目し,ボルト頭部に渦電流プローブを設置するだけで軸力を評価可能な新たな手法の構築を目的として検討を行った.また,軸力によりボルト頭部が変形することを考慮し,渦電流計測で重要な評価指標であるプローブと計測対象との間に生じる隙間と出力信号との関係を明らかにし,軸力評価への影響について検討し,提案手法の有効性についての検討も行った.