2022 年 78 巻 3 号 p. 368-373
摩擦面に厚膜型無機ジンクンクリッチペイントを施した高力ボルト摩擦接合継手では,ボルト締付けによる塗装面のクリープ(押しつぶされる量)が大きく,摩擦面を粗面状態とした場合と比較してボルト軸力の低下が大きくなることが知られている.このクリープの影響は,塗膜厚が厚くなるほど大きくなること,フィラープレートの挿入で摩擦面の数が多くなった継手で大きくなることが確認されているが,塗膜厚と摩擦面数の双方に着目した検討事例はない.本研究では厚膜型無機ジンクンクリッチペイントの膜厚と摩擦面数をパラメータとした高力ボルト摩擦接合継手のリラクセーション試験およびすべり耐力試験を実施し,膜厚と摩擦面数が軸力低下に及ぼす影響を分析した.さらに,先行研究で示した摩擦面数に応じた導入ボルト軸力の推奨値の妥当性を確認した.