2022 年 78 巻 3 号 p. 417-431
鋼橋の疲労き裂の対策として,ストップホール法と高力ボルトによる当て板添接を併用した場合,その疲労耐久性を定量的に評価する手法は確立されていない.本研究では,き裂を模擬したスリットにストップホールを施した鋼板に,高力ボルトにより当て板を添接した試験体に対する疲労試験を実施し,その疲労耐久性を調査した.
試験の結果,ストップホールからの疲労き裂と当て板接合面でのフレッチング疲労き裂の2つの破壊形態が確認され,前者に対して,ストップホール壁の局部応力で整理した疲労強度に対して既往研究の当て板のないストップホールの疲労強度曲線が適用できること,後者は,高力ボルト摩擦接合継手の疲労強度と同程度であることを示した.これらの結果を踏まえ,疲労耐久性を定量的に評価したうえで当て板を設計する考え方を提示した.