2013 年 69 巻 2 号 p. I_37-I_42
東日本大震災では,震災前の想定を大きく上回る津波被害により,災害対応拠点であるべき市町村の庁舎が流出し地域の復旧・復興に遅れが生じた.その結果,住民の他地域への移住に歯止めがきかずコミュニティの復興が困難な状況になっている.この教訓をもとに,今後発生する大規模広域災害への備えとして,地域が喪失する最悪の事態を想定して,事前に行政機関が企業や地域コミュニティと連携して防災力の向上に努めることは勿論,最悪の事態に対して地域全体で早期の復旧・復興を可能にする仕組み作りが求められる.
本研究では,住民の生活拠点である地域コミュニティに注目して,その防災・減災力の向上並びに大規模広域災害時のコミュニティ継続の在り方について検討する.コミュニティの防災・減災力を「頑健性」,「冗長性」,「資源」及び「即応性」の4つの指標を用いて定量化し,コミュニティ・レジリエンス(CR:Community Resilience)として評価する.その指標を用いてある特定地域のレジリエンス評価を行い,大規模広域災害時を想定したコミュニティ継続計画(CCP:Community Continuity Plan)の策定手法を提案する.