2014 年 70 巻 2 号 p. I_137-I_142
低平湿地の開発には,鋼矢板水路に代表される水路施設が活用されてきた.長期供用されたこれら施設は,鋼材腐食に伴う構造安定性の低下が顕在化している.このため,既存施設の腐食実態評価が維持管理において重要な技術的課題となっている.本研究では,赤外線サーモグラフィ法により腐食鋼矢板の熱画像データを取得し,セミバリオグラムモデルを用いて評価した.セミバリオグラム解析は,物性値の空間分布特性を定量評価する手法である.検討の結果,セミバリオグラムは腐食実態の影響を受けたと考えられる明確なラグとセミバリアンスの関係が確認された.このことから,鋼矢板水路の腐食実態はセミバリオグラムにより簡易かつ定量的に評価できたものと推察された.