2015 年 71 巻 1 号 p. 1-12
過疎地域では,高齢化に伴う災害時要援護者の増加といった災害脆弱性が顕在化している.また要援護者の避難支援における個別計画では,平日昼間に支援可能者の多くが地域を離れることを想定していない等の課題があり,支援体制が整っているとはいえない.そこで本研究は過疎高齢島嶼地域である沖縄県渡名喜村を対象とし,前述を考慮した要援護者支援に関する地域診断を行った.住民間の認知関係や道路閉塞の危険性を評価した結果,渡名喜村では地域のつながりを活用した徒歩での災害時要援護者支援が適当であると判断し,平日昼間の状況や認知関係,避難時間を考慮した支援者とのマッチング方法を提案・適用した.その結果,保健師との認知関係を活用した最適なマッチングを行うことですべての要援護者の支援が可能になることなどを示した.