2015 年 71 巻 1 号 p. 13-24
建設業における労働災害による死亡者数は従来から墜落災害によるものが最も多く,建設業全体の約4割を占めている.本論文は,土木工事業にて墜落災害発生時の主な作業箇所として分類される「崖・斜面」からの墜落災害を対象として,実態把握および墜落災害防止対策の確立のための基礎データを得ることを目的とした労働災害(死亡災害)事例の調査分析を行った.また,分析結果を基にして,ヒューマン・ファクター工学で適用されている分析手法の一つであるm-SHELモデルを用いた要因分析を行い,斜面工事における墜落災害防止対策として必要な項目や技術について検討した.