抄録
近年,日本の都市域では内水氾濫がしばしば発生する.内水氾濫による浸水予測は,一般的にシミュレーションによって行なわれ,内水ハザードマップもこの方法で作成されたものが多い.しかし,シミュレーションの実行にはDEM,土地利用,下水道等の多数のデータが必要であり,多大な労力を要するうえ,微細な地形の評価が難しい面もある.そこで本研究では,高解像度のDEMと近年発展が著しい機械学習を用いて,過去の浸水箇所と似た特性をもつ地域を危険性の高い地域として抽出する手法を考案した.具体的には,浸水箇所の特性として道路や地形に関する指標を複数算出し,これを学習データとして機械学習の一つであるランダムフォレストを実行することで,浸水箇所・非浸水箇所を分類した.分類の正解率は約80~90%であり,手法の有効性が示された.