抄録
「リスクアセスメントの努力義務化」が,平成18年の改正労働安全衛生法の施行で明確にされ,建設業においても導入が進んでいる.しかしながら,最近,災害発生数の減少傾向にかげりが見られるのが現状である.国際的に見ると日本は労働災害の少ない国であるが,例えば,建設労働者10万人当たりの死亡災害数で比較すると,日本は英国の約3倍の災害が発生している.なぜ,日本では「リスクアセスメントの努力義務化」などの効果が顕著に見られていないのか?本研究では,英国での建設安全衛生関係者からの聞き取り調査等に基づき,英国と日本との建設工事の実態,リスクマネジメントを含む法体系や制度等の違いを明らかにし,日本における建設工事の安全衛生等の今後の方向について検討した.