2015 年 71 巻 2 号 p. I_13-I_18
東日本大震災では,主要施設の機能不全,社会基盤施設の壊滅的被害等想定を超える事態が発生した.その結果,住民の生命,財産,生活を守るべき基礎自治体(市町村)がその機能を発揮できず,住民が長期間にわたって過酷な避難生活を強いられることになった.これを受けて,内閣府から行政機関とくに市町村に対して想定を超える事態においても重要機能を発揮できるBCPの策定・見直しを行うように指示が出された.しかし,被災地域が広範囲にわたる大規模災害では,行政による支援・救援が遅れ,空白期間が長期化することは避けられない.このような状況においては,住民個々の力でまた住民同士の助け合の力で当面を凌ぎ公助を待つ必要がある.
本研究では,地域コミュニティに着目し,住民の個々の力並びに住民同士の共助の力をレジリエンス・エンジニアリングの4つの能力(対処能力,注意能力,予見能力,学習能力)として捉え,それらをアンケートにより評価する手法を提案する.そしてさまざま地域でアンケートを実施し,評価手法の有効性を検証するとともに地域間の防災意識の違いについて考察し,意識向上図る対策を提案する.