2017 年 73 巻 1 号 p. 1-13
地域コミュニティにおける自助と共助の重要性が再認識され,防災ワークショップ(以下WS)に関する報告が数多くなされている.本研究は,防災WSが共助に与える効果を明らかにすることを目的とし,防災WSと組織の行動の関係に着目した調査・分析を行った.2013年に,沖縄県国頭村与那区においてWSを実施し,地区レベルにおいて防災対応を行う際の重要事項や留意点を整理した.まず,判別分析を用いてWSの発言と行動の関係を定量的に明らかにし,次に,会話の構造に着目した考察を行った.最後に,CAUSEモデルよりプロセス全体の解釈を行った.結果,防災対策の実行には参加住民の発言数や区長の発言が影響していること,WSにおける専門家と住民の共同学習の成果があったこと,多様な住民が重要な役割を果たしていることが明らかになった.