土木学会論文集F6(安全問題)
Online ISSN : 2185-6621
ISSN-L : 2185-6621
73 巻 , 1 号
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和文論文
  • 長曽我部 まどか, 中山 貴喜, 神谷 大介, 榊原 弘之, 山中 亮, 宮国 敏秋, 峰 翔太, 辻本 真希
    2017 年 73 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/02/20
    ジャーナル フリー
     地域コミュニティにおける自助と共助の重要性が再認識され,防災ワークショップ(以下WS)に関する報告が数多くなされている.本研究は,防災WSが共助に与える効果を明らかにすることを目的とし,防災WSと組織の行動の関係に着目した調査・分析を行った.2013年に,沖縄県国頭村与那区においてWSを実施し,地区レベルにおいて防災対応を行う際の重要事項や留意点を整理した.まず,判別分析を用いてWSの発言と行動の関係を定量的に明らかにし,次に,会話の構造に着目した考察を行った.最後に,CAUSEモデルよりプロセス全体の解釈を行った.結果,防災対策の実行には参加住民の発言数や区長の発言が影響していること,WSにおける専門家と住民の共同学習の成果があったこと,多様な住民が重要な役割を果たしていることが明らかになった.
  • 片田 敏孝, 桑沢 敬行, 児玉 真
    2017 年 73 巻 1 号 p. 14-23
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/20
    ジャーナル フリー
     不測の事態である災害は,事前に最適な対応を検討することが困難であることから,人的被害の最小化を実現するためには,単一の想定シナリオに縛られることのない臨機応変な対応が求められる.本研究では,この課題に向けて,市町村職員による避難誘導を主とした防災機関の水害時の対応判断に関する演習を行うためのシステムを開発している.このシステムは,水害時の地域状況を総合的に表現するシミュレーションモデルを基本としており,多様なシナリオに基づく被災時の状況や防災対応を仮想的に体験することができる.また,複数の機関が同時並行で活動する状況を表現できることに加えて,その活動による結果を人的被害規模などの指標によって具体的に評価できる特徴を持つ.
  • 栗林 大輔, 大原 美保, 佐山 敬洋, 近者 敦彦, 澤野 久弥
    2017 年 73 巻 1 号 p. 24-42
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,洪水災害に対応するための防災情報が乏しい中山間地の自治体の防災担当者による,事前の効果的な洪水減災対策立案に資するべく,町内各地区を単位とする洪水脆弱性評価手法を開発した.具体的には,阿賀野川流域の新潟県阿賀町を対象地域として,複数の外力パターンに対して降雨流出氾濫モデル(RRIモデル)を用いた氾濫解析を実施して,町内19地区に対する地区ごとの最大浸水深や浸水継続時間を算出し,高齢化率などの地域特性を考慮しながら各地区の洪水に対する脆弱性を評価した「洪水カルテ」を作成した.さらに,「洪水カルテ」の診断結果に基づいて,洪水に対する各地区の特性を分析し,各地区に応じた対応案を提案した.
  • 菊本 統, 下野 勘智, 伊藤 和也, 大里 重人, 稲垣 秀輝, 日下部 治
    2017 年 73 巻 1 号 p. 43-57
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/20
    ジャーナル フリー
     自然事象の頻度や程度を表す危険源,自然災害にさらされる人口割合を表す曝露,自然災害に対する社会や経済の脆さを表す脆弱性を定義し,規準化した過去の災害記録や統計データの重み付け線形和により計算し,それらの掛け合わせとして自然災害に対するリスクを評価する統合的指標を提案した.そして47都道府県を対象としてリスク指標を算出し,各都道府県が内包するリスクの特徴を考察するとともに,指標の意義を説明した.最後に,指標を用いたリスクの分析と管理の方法について議論した.
  • 金子 大二郎, 細山田 得三
    2017 年 73 巻 1 号 p. 58-70
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/20
    ジャーナル フリー
     南関東地震の震源に近い湘南地域は,家屋倒壊や津波遡上のリスクが高く,首都圏の中でも特に注目地域として減災の抜本的具体策を立案するのが望ましい.その中でも文化観光都市として重要な鎌倉市は,津波遡上に対する避難に当たって住民ばかりでなく土地不案内な観光客が多く,人的損失の回避・軽減を図る必要がある.本研究は,別途に提案中の高規格海岸道路と観光車両の駐車場を埋設しながら広域避難地を内蔵した津波防災松林丘陵が無い場合の現況地形を対象とし,津波避難の人命リスクについて,人口密度,木造住宅率,避難距離,津波浸水深を考慮した地理・社会モデルを開発し,リスクの分布特性を評価した.得られた結果は,防災対策や復興の計画方針に役立てることにより,社会貢献することができる.
  • 及川 康
    2017 年 73 巻 1 号 p. 82-91
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/20
    ジャーナル フリー
     「津波てんでんこ」という言葉の津波避難時における意味・機能の重要性は,これまで繰り返し言及されてきた.しかし,「津波のときは,親でも子でも人のことなどは構わず,銘々ばらばらに一時も早く逃げなさい」という原義だけが表層的に理解され,「『津波てんでんこ』は利己的で薄情すぎる」という批判に繋がってしまう懸念についても,同時に言及されてきたことである.本稿は,このような批判がどの程度生じ得るのかを把握すべく行った調査の結果を報告するとともに,それを払拭するための方策について考察を加えるものである.その結果,「津波てんでんこ」に対する批判を回避して真の理解が得られるためには,一義的・表面的な原義を正確に提示するのみでは不十分であり,適切な解説・解釈が為されることが必要であることが確認された.
  • 池田 誠, 朝位 孝二, 村上 ひとみ, 高橋 征仁, 有川 太郎
    2017 年 73 巻 1 号 p. 92-101
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー
     地震発生時における住民の避難行動は,正確な防災知識の有無,防災活動への参加経験,実際に感じた地震の揺れなど,様々な要因によって影響を受ける.本研究では2014年4月に大規模地震が発生したチリ国タラパカ州イキケにおいて住民を対象にアンケート調査を行い,地震発生時の避難行動に影響を与えた要因について検討を行った.その結果,住民が実際に感じた地震の揺れが避難行動を促す大きな要因であったとことがわかったが,高齢者にとっては災害リスクの意識の不足により避難行動を控えた傾向があった.また,本震発生時に住民がいた場所の空間的要因が,避難行動に影響を与えている点も明らかとなった.一方で,国内の既往研究で指摘があるハザードマップの効果については,住民の避難行動に与える影響はあまりないことがわかった.
和文報告
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